進化するスーツの機能
ビジネスマンが一日の大半を着て過ごすスーツ。
消費者の要求に答えるうちにスーツはここまで進化しました。
形状記憶スーツ
型崩れやしわになりにくい加工をしているスーツ。
スーツの形を保ち、かつハンガーにかけておくだけでしわがとれる為、出張などにはとても便利な機能。
店頭では5万円から6万円。
撥水加工など他にも多くの機能が一緒についている事が多い。
形状記憶プリーツ
同じ形状記憶でもプリーツ(パンツの折り目)に特化したタイプ。
以前までは、一日履いたパンツはプリーツが消えてしまい、どうにもだらしなく見えるものでした。
その為に毎日アイロンがけをするのですが、それがとても面倒。
しかしこのタイプは、特に消えやすい膝の部分ですら折り目をキープ。
ハンガーにかけておけば、翌朝にはまたプリーツが復活しているのですから、ずいぶんと便利な機能だと思います。
お値段は形状記憶スーツより、1万円ほど安く抑えられているものが多いようです。
ストレッチ加工
伸縮性に優れる加工方法。
一方向のみに伸縮するのではなく、上下左右すべてに伸縮するので一日中着ていても疲れにくいという特徴があります。
抗菌・消臭加工
文字通り菌の繁殖を抑え、悪臭の発生を防ぐ機能。
その方法は複数あり、超微粒子ダイヤモンドが菌や臭いを吸着する方法や、空気中の酸素と水分によって抗菌と消臭をする空気触媒などがあります。
夏の暑い盛りにはうれしい機能です。
UVカット機能
紫外線を防いでくれる機能。
肌は紫外線に長時間さらされると発がんリスクが高まり、老化が進むのはよく知られた話です。
紫外線は7月の後半から8月にかけて最も強くなりますが、冬でも降り注いでいますので、健康に気をかけている人には気になる機能でしょう。
電磁波抑制機能
胸部にカーボンシートをはさみ、外部からの電磁波を抑制する機能。
電磁波とはあらゆる電子機器から発生する「波」の事で、電気と磁気の両方の性質をもっています。
ちなみにレントゲンに使用されているX線も電磁波の一種です。
電磁波によって頭痛がする、がんの発生率が高まるといった健康被害が心配されていますが、まだ科学的根拠は解明されていません。
しかし、安全だという根拠も無いのが現状です。
健康被害が確定する前から対応しているのは、さすがとしか言いようがありません。
撥水・撥油加工
水や油をはじく機能。
思わずコーヒーをこぼしてシミを作ってしまった経験は誰しもがあると思います。
この機能がついていれば、ちょっと服だけでシミになるようなことはなく、油もはじくのでパスタソースがはねた、という場合でも安心です。
機能だけを見れば珍しくはないかもしれませんが、撥水の為にナノテクを使用し繊維そのものを変えているそうです。
防水スプレーのように膜を作っている訳ではないので通気性に優れているのも特徴です。
花粉付着防止機能
スーツに花粉が付くのを防ぐ機能。
花粉症は体験した人ならその辛さが良くわかるでしょう。
室内に持ち込まれる花粉のほとんどは、外出時に服に付着したものだそうです。
この機能があれば、室内での花粉症がずいぶんと抑えられるのではないでしょうか。
蓄熱温感機能
スーツの中に熱を溜める機能。
有名なものではヒートテックなのでしょうが、あちらは水分で発熱する機能であり、肌着だから効果のあるものです。
このタイプでは、外部の光や紫外線を吸収し内部に熱として伝える機能となっています。
ウォッシャブルスーツ
スーツを自宅の洗濯機で洗える機能。
スーツといえば、クリーニング店でドライクリーニングにかけてもらうのが一般的でした。
とはいえ、しょっちゅうクリーニングに出すのは経済的に負担が大きいもの。
しかしこのスーツであれば簡単に洗濯できますので、夏場など良く汗をかく時期でも常に清潔なスーツを着る事ができます。
清涼スーツ
夏用の涼しさを追求したスーツ。
種類が多すぎて一概には言えませんが、生地を薄く、熱を放出するスーツ全般の事です。
生地を薄くしても強度は保つ、透けないようにする。
通常の生地とは織り方を変えて熱の放出効率を高める。
糸を中空にするなど、その工夫には頭が下がるばかりです。
スーツの進化は見えない所にあった
ずらずらとスーツの機能を並び立ててみましたが、いかがでしたでしょうか?
現在、これらの機能を全て一着に集めたスーツは確認できませんでした。
多機能スーツとされている物でも6種類程度でしょう。
新素材の発明や、新しい織り方で作られた生地により進化を続けるスーツ。
今、スーツを選ぶ基準の中でデザインや流行と合わせ、その機能もますます重要となっています。