基本は日々の手入れとダメージ回復
革は人間の皮膚と同じようにケアを必要としています。
重要なのは汚れを落とす事と、栄養を与えてダメージを回復する事です。
今回は、ビジネスシューズとして最も愛用されている、表面がつるつるで光沢のあるスムーズレザーの革靴を中心に説明していきます。
一日履いた靴は汚れを落とす
●家に帰ったら、固く絞った綿の布で表面の汚れを落とします。
●次に風通しの良いところで、靴が吸った水分を最低でも二日以上乾燥させます。
毎日のケアはこれだけです。
特に毎回ブラッシングやクリームを塗りこむ必要はありません。
むしろやり過ぎは靴に余計なダメージを与える結果になってしまいます。
革靴の天敵は汚れと水分
汚れに関しては、革靴の表面のワックスがバリアの役割をしていますので、ふき取るだけで落ちます。
そして水分ですが、靴は足からの汗を大量に吸っています。
その量はコップ一杯分。
しかも通常時でその量ですので、外回りで歩いている方はもっと多い事でしょう。
この汗が臭いの原因であり、靴の寿命を縮める大きな要因です。
その為、革靴は最低でも3足。
可能なら5足は用意してローテーションさせるのが基本です。
特にこだわりがないのであれば、日本製の1万円程度の革靴をおすすめします。
日本人の足と多湿の気候に合わせて作られていますので、同じ値段帯では海外製の物より一歩すぐれています。
月一ケアで輝きを取り戻す
このケアをするかしないかで、革靴の寿命に大きな差が出ます。
靴がダメージを負ってきたと来たと感じたら、クリームを使い栄養の補給をしてあげましょう。
最低でも月に1回。
余裕があれば週に1回、休みの日に1足のペースでケアしてあげましょう。
所要時間はゆっくり手間をかけても30分。
慣れてくれば20分以内に終わらせることができます。
シューケア実践
用意する物
●靴用ブラシ
●綿の布
●靴用クリーナー(汚れ落とし用)
●乳化性靴用クリーム(栄養補給用)
●油性ワックス(光沢用)
あると便利なもの
●シューキーパー(靴の形を維持し、力を入れて作業しやすくなる)
●ペネトレイトブラシ(乳化性靴用クリームが塗りやすい)
●化繊ブラシ(乳化性靴用クリームを伸ばし、ツヤをだす)
●汚れ落とし用消しゴム(文房具用でも可。ひどい汚れに対して使用)
1.ブラシで汚れ落とし
シューキーパーを中に入れ、靴全体のほこりを靴用ブラシで落とします。
この時、固く絞った布で水拭きしても構いません。
あまりにもひどい汚れには消しゴムを使う事もありますが、革にダメージを負わせやすいので使用には注意してください。
靴底などもしっかりと処理しましょう。
2.靴用クリーナーで汚れ落とし
全体の汚れを落としたら、次は汚れ落とし用の靴用クリーナーを布につけ、靴全体を拭きあげます。
この段階で、油汚れと古くなったクリームを除去します。
布の位置をこまめに変え、常に綺麗な面で作業する用にしましょう
3.乳化性クリームで栄養補給
ベネトレイトブラシ(なければ歯ブラシ)で乳化性クリームを全体に広げていきます。
量は少量で十分です。
乳化クリームにはツヤを出すとともに、革をしっとりとさせ栄養を補給する効果があります。
4.乳化性クリームを広げる
化繊ブラシ(なければ柔らかい布)を使って乳化性クリームを均等に広げていきます。
縫い目などの細かい部分もしっかりとブラッシングしましょう。
クリームが馴染み全体が透明になります。
表面が光を反射し、しっとりとした質感になってきます。
5.乾拭きでクリームを取る
余分なクリームは革に負担をかけますので布で乾拭きし、しっかりと取り除きます。
布の綺麗な面を使って磨き上げていきましょう。
6.油性ワックスで光沢を出す
布に油性ワックスを取り、つま先、かかと、靴底との縫い目部分に塗っていきます。
油性ワックスは靴の表面に膜となって傷や雨を防いでくれますが、通気性が悪くなってしまいます。
その為、全体に塗るのではなく、部分的に使用しましょう。
7.保管
型崩れを防ぐためシューキーパーを入れたまま、湿気のこもらない場所で保管します。
補足
新品の靴をおろす前に一連の作業を行うと、クリームが靴を保護し、汚れにくくなります。
雨に濡れた靴には更なるケアが必要
革靴の天敵「雨」 雨に濡れたまま放っておくと、型崩れやひび割れ、最悪カビが生えてきますので普段とは違うケアが必要になります。
徹底的に乾かし、栄養を与える
用意する物
●新聞紙
●靴用ブラシ
●風通しのいい日陰
●乳化性靴用クリーム(栄養補給用)
1.新聞紙で型崩れを防ぎ、水分をとる
つま先の形に新聞紙を丸め、履き皺が伸びる程度に詰め込みます。
革は水を吸って柔らかくなっているので、新聞紙がシューキーパーの代わりをしてくれます。
型崩れを起こすほどには詰め込まないでください。
その時、新聞紙を履き口から外に出すようにすることで、水の蒸発を促すことができます。
なお新聞紙はこまめに交換しましょう。
2.ブラシで汚れを落とす
1で行ってもよいのですが、万一の型崩れ防止の為に新聞紙を詰めた後で行います。
3.風通しの良い日陰で乾かす
風通しの良い日陰で、つま先を上に立てかけて乾燥させます
濡れた程度にもよりますが4日。
ひどい場合は1週間は乾燥させた方が安心です。
しかし乾燥を急ぐあまり日光に当ててしまうと、ひび割れの原因になるので、必ず日陰に置いてください。
4.乳化性クリームで栄養補給
手順は「月一ケア」と同じです。
ただし雨によって、革の内部にあった栄養が流れ出てしまっています。
乳化性クリームを塗った後、乾燥を待って、もう一度重ね塗りをした方がいいでしょう。
靴は生き物と考えましょう
革靴を長く綺麗に使う秘訣は、定期的に栄養を与えて休ませることです。
しっかりと手入れをしてあげれば、革靴は10年20年と使用することが可能です。
履き続けるほど、革が自分の足にフィットしていくのが革靴の特徴。
ぜひ一足の靴を長く愛用してあげてください。