そもそもネクタイピンとは何か?
簡単に言えば「ネクタイとワイシャツを留める実用的なアクセサリー」です。
素材は高級な物では「金」「銀」「プラチナ」などが使用されていますが、色や質感の似た「真鍮」「洋白(ニッケルシルバー)」が使用されている事も多くあります。
一般的にタイピン、もしくはネクタイピンというとクリップ式の物を指す場合が多いようですが、それらは正確には「タイクリップ」という種類に分類されます。
あまり知られていないタイピンの種類
具体的には、その形状や留め方によって6種類に分類されます。
タイクリップ
他に「タイスライダー」「タイクラスプ」とも呼ばれる、タイピンの主流。
ネクタイの大剣、小剣、ワイシャツの三枚をバネの力で挟み込んで使用します。
タイクリップを見せる留め方。
外から見えないよう大剣の後ろに隠し小剣だけで留める留め方。
ネクタイを浮かせ立体的に見せる留め方など、バリエーションが豊富です。
バネの無い物も存在し、その場合はタイスライダーと呼ばれる場合が多い。
ショートクリップ
小型のタイクリップ。
主にナロータイ(通常より3cmほど細いネクタイ)に使用されます。
こちらにもバネの無い物が存在します。
タイバー
針で刺し、後ろ側を金具で固定するタイプ。 「ラベルピン」とも呼ばれます。
カフスリンクとして使用できるタイプもあります。
留め方としては、針や金具を見せる方法と見せない方法の2種類があります。
タイチェーン
鎖で止めるタイプ。
クリップ部分はゆるく弧を描いた棒状になっており、その中央にボタンをひっかけるくぼみがついています。
そのクリップ部分の両端を1本のチェーンがつなぎ、全体で輪を描く構造になっています。
使用する際はワイシャツのボタンにクリップをひっかけ、輪の中にネクタイを通すことで固定できます。
クリップ部分はネクタイとワイシャツの間に隠れ、前からはチェーン部分のみが見えるようになります。
タイタック
基本は、タイバーと同じように針で固定するタイプ。
ネクタイの大剣と小剣をだけをタイタックで挟むように固定し、後ろについているチェーンをボタンにかける事で、ネクタイとワイシャツを留めます。
ラベルピンと一緒にされることあるようです。
スティックピン
針状のピンでネクタイを留めるタイプ。
頭とピンの先には装飾用のヘッドがついています。
主に礼装時に使用されるようで、通常のネクタイには用いません。
ネクタイピンの付け方
種類の多いネクタイピンですが、ビジネスシーンで使用するのはほとんどがタイクリップでしょう。
そして実際にタイピンを使用するときに困るのが、留める位置。
隠してしまっては意味がないし、上につけ主張させるもの違う気がする。
どうにもしっくりとくる位置がない。
では、どこにつけるのが正しいのでしょうか。
全体のバランスが重要
決まった位置はありません。
タイピンを付けた時に、これじゃ無いと思うのは、「タイピンとネクタイ、ワイシャツ、スーツのバランスが崩れている」からと考えましょう。
とりわけ重要になるのは「ネクタイとネクタイピンの相性」です。
この組み合わせに気を付けるだけでも、ずいぶんと変わってくると思います。
どのアイテム一つとっても、そのバリエーションは豊富で組み合わせに限りはありません。
その為、どの組み合わせが良いかは経験で覚えるしかなく、ファッションに取り入れるには難しいアイテムかもしれません。
しかし、さりげなく、それでいてキラリとセンスを光らせるような着こなしを、「分かる人」は絶対に見逃さないでしょう。
ネクタイピンの位置
タイピンに決まった位置はありませんが、定番の位置は3か所あります。
ジャケットを着ている時
ジャケットのボタンを留めた少し上。
この位置が一般的ではないでしょうか
。
主張し過ぎず、時折、輝いて見せるスマートな楽しみ方です。
ジャケットを脱いだ時
ネクタイの下の方で留める。
タイピンはアクセサリーであると同時に、ネクタイがだらしなくブラブラするのを防ぐ実用的なアイテムです。
風の強い日や、お辞儀の度に、タイピンがあるのにネクタイが暴れるようでは意味がありません。
もう少し主張させる
ネクタイの上(胸の真ん中ほど)で留める。
ドラマなどで見かけるようになった留め方です。
コートを着るような場合に胸元のおしゃれとして使える方法ですね。
チェーン付きの場合
本体の位置は変わりません。
チェーンをワイシャツのボタンに引っかけ、緩まないようにピンと張るように調整します。
タイピンのチェーンは本体のズレと落下防止の為に取り付けられています。
ただし、それほど強い強度はありませんので、切ってしまわないように注意しましょう。
ネクタイピン選びの注意点
その材質などによっては高価な物も少なくないのがネクタイピンの世界。
失敗しない為にはどんなことに注意した方がいいのでしょうか。
ポイント1・バネの交換が可能か
タイピンの主流であるタイクリップはバネの力で、もしくは金属の力でネクタイを挟み込みます。
その為に使い続けていると、どうしても金属疲労により挟みこむ力が弱くなってしまいます。
安いもので2千円。金を使用した物では5万円と高価なアイテムです。
長く愛用する為にもメンテナスが可能かは重要になってくるでしょう。
ポイント2・ブランドに安心しない
一流の名前がついているから一流の商品である保証はありません。
ラインナップを見ていくと、バーバリー、グッチ、エルメス、ポールスミスなど一流ブランドの名前をよく目にします。
これらの中には、ブランドマークの使用を許可されただけのライセンス品で、メーカー品に比べ品質が落ちるものや、コピー商品が混ざっている場合もあります。
店頭であれば現物を、ネットであれば口コミなどを頼りにして粗悪品をつかまされないようにしましょう。
徐々に見直されてきたネクタイピン
30代にとってはどうしてもマイナスイメージが残るタイピンですが、もっと若い世代では使用する方も増えているようです。
また女性から男性への贈り物としても人気があり、男性がオヤジ臭いと思っている一方で、女性には付けてもらいたいと考えている人が多いのではないのでしょうか。
身なりを引き締めるとともに、さりげなく個性を演出するネクタイピン。
一度チャレンジしてみてはいかがですか